一番最初に揃えるべき山道具は?

最初に何を揃えるか?
「登山を始めたいのだけど、何から用意したらいい?」登山を始めたい人からよく聞かれる質問だ?なかなか正解が難しい質問だが、私なりには一定の回答をいつもしている。それが、「死なない為に必要な順」だ。大まかに区分するならば、「無いと死ぬモノ」は優先が高く、「あると快適なモノ」は優先が低いというわけだ。そして、何から揃えるかを考える上で重要なのは、「山行の長さ」と「季節」だ。「山行の長さ」で言えば、多くの人は、日帰り登山 > 1〜2泊の登山(山小屋) > 1〜2泊の登山(テント) > 3泊以上の縦走 という風に、短い山行・距離から、長い山行・距離へ徐々に山行計画を伸ばしていくと思うし、そうすべきだ。もう一つは「季節」だが、こちらも多くの人は、夏山 > 春山・秋山 > 冬山 へと難易度を高めていくのが望ましい。誰しもが想像がつくところだが、夏山よりも天候の読みづらい春山・秋山は難易度が高く、またそれ以上に厳冬期の登山は、全く別物と捉えた方がいい。この2軸を掛け合わせ、徐々に山行の長さ・難易度の高さを高める訳で、当然それに応じた順に揃えるべき山道具が追加されてくるのだ。下記は私見ではあるが、その考えに沿って順序づけている。
日帰り登山に必要な山道具は?
そう考えると、まず揃える山道具は、日帰り登山に必要な山道具となり、その中でも、「無いと死ぬモノ」から順に揃えるのが、一定正解となる。以下は、私なりの解釈ではあるが、あながち間違いでは無いはずなので、参考にしてほしい。
1. トレッキングブーツ(登山靴)
まずは、トレッキングブーツ(登山靴)が。私が考える「無いと死ぬモノ」の一番は、これである。要は歩けなければ、死ぬのだ。日帰り登山ならば、普段使っているスポーツシューズやスニーカーで大丈夫では?と考える人もいるだろうが、もちろん山行によっては成り立つこともある。だが、あくまでそれは結果論だ。スニーカーで足を滑らせれば、滑落などの大事故につながる可能性もあるし、靴擦れなどで歩けなくと、死の危険が高まるという訳だ。当然、日帰り登山用のアプローチシューズやファストパッキングシューズなど軽く、足元の自由度が高いローカットシューズも一つの選択ではあるが、山道具は「大は小を兼ねる」為、日帰り登山であっても、ゆくゆく1泊以上の縦走登山を目指すのであれば、最初からトレッキングブーツやアルパインブーツを選択することをオススメする。山に魅了されれば、段々と長距離登山に憧れてしまうモノだから…
2. ソックス
トレッキングブーツとともに重要になるのが、山用のソックスだ。厚手になっており、疲労を軽減してくれるとともに、靴擦れの予防にもなる。ソックスもトレッキングブーツ同様に、歩けなければ死ぬ要因につながる可能性が高く、是非とも優先して揃えて欲しい。シャツやパンツは、確かに先に揃えたくなるし、見た目もかっこいい為優先してしまいがちだが、実際は登山用でなく市販のジャージでも十分山行を敢行できる。やはり優先し、足元だけは、登山用のモノを選択しないと、結果後悔することにつながるだろう…
3. レインウェア(雨合羽)
レインウェア(雨合羽)も「無いと死ぬモノ」の一つだ。誰しもが聞いたことがあると思うが、山の天気は変わりやすい。下界がカンカン照りの天気であっても、山の中は、ガス(雲)に見舞われることも多く、地上での天気予報は極端にその精度を欠く。一度濡れてしまうと、体温を下げ、体力を奪われてしまう。日帰り登山を甘く見ることなく、マストなアイテムとして、レインウェアを捉えて欲しい。風の強い時には、ウィンドブレーカーにもなり、万が一の際にも防寒具になる等、何かと重宝するので、高価ではあるが、是非登山用のレインウェアを装備しよう。
4. ヘッドライト
続いて挙げるならば、ヘッドライトであろう。これもレインウェア同様にもし万が一に備え、あった方がいい。もし万が一というのは、予定通りの工程で山行が進まず、火がくれることを想定してのことだ。そんなことあるわけないとも思われがちだが、ルート一つ間違えば、その可能性は出てくるし、山は何が起こるか分からない。不意の雨や、足の怪我、何か一つでも予定で狂えば、山行は思い通りに行かない可能性は多分にある。ヘッドライトがあれば、前に歩く可能性が少しでも出てくるし、遭難者として見つかる可能性も一気に高まる。逆に言えば、山には当然ながら電灯はなく、その暗闇は未経験者は想像もできないことだろう。是非「無ければ死ぬモノ」として、揃えたいギアの一つだ。
5. バックパック(ザック)
ここにきてようやくバックパック(ザック)を挙げたが、不必要というわけではない。上位の山道具と比較すると、日帰り登山であれば、普段使いのナップサックなどでも代替が効く。初心者が山道具を一気に揃えるのは、それなりにお金が必要になるし、であれば、バックパックは無理せず、上位の4点にお金をかけ、揃えるのが良い。もし登山をすることを覚悟を決め、決意しているならば、ゆく先々を考えて、テント泊までできる40ℓくらいのザックをオススメする。40ℓあれば、食料・クッカー・シングルバーナーだけでなく、テント・スリーピングバッグ(シュラフ・寝袋)・スリーピングマットもパッキングできる容量となる。下手に20ℓくらいを購入した上で、また40ℓのバックパックを購入することになるくらいならば、「大は小を兼ねる」で、最初から40ℓを購入したする方がいい。詳しくは、以前にも書いた記事「バックパックの分類(容量)」も、併せて確認いただきたい。
6. ウォーターボトル(ポリタンク)
ウォーターボトル(ポリタンク)も、バックパック(ザック)同様に、不必要というわけではなく、日帰り登山や初めての登山であれば、あえて購入しなくて良いという捉え方だ。当然ながら、登山は例え低山であっても、消費カロリー量が多く、熱を放出する為、大量に汗をかく。水分補給は、体力を維持する意味でも、熱射病等を予防するという意味でも、必ず必要となる。なので、初めての登山ならば、500mlのペットボトルでスポーツ飲料を購入すれば事足りる。なくなれば、水場や湧水で補充すれば良いが、重さと引き換えに大事取るならば、1ℓのペットボトルを用意すれば、十分だろう。こちらも先行きを見据えるならば、購入するならば、1ℓ〜2ℓサイズのウォーターボトルがオススメである。重さは増えてしまうものの、テント泊見据え、調理する際に、水場に補充する回数を極端に減らせるし、万が一の時に水は命に等しい。慣れてくれば、重さは地図を見ながら、水場の位置を確認し、補充する水量を調整するようにもなってくる。
7. ベースレイヤー(山シャツ)
ここからは、より快適に山行を過ごす為の山道具と捉えてくれれば良い。日帰り登山であれば、ユニクロで売っているスポーツ用のシャツで十分だろうし、購入するならば「あると快適なモノ」の一つだ。ただ、その快適さは一度利用すると、手放せなくなるくらい、モノが違う。登山用のベースレイヤー(山シャツ)は、発汗性や透湿性に優れ、大量に汗をかく登山において、快適さが格段に違ってくる。汗で濡れたシャツは気分が悪く、レインウェアさえあれば死にはしないものの、気温低下時に、体温を下げることになる。また1泊以上の登山ともなると、その匂いも気になってくる為、重宝する。
8. トレッキングパンツ
最後にトレッキングパンツだ。こちらもより快適に登山を過ごす為の「あると快適なモノ」の一つだ。初めての山行であれば、あえて購入する必要なく、こちらも速乾性の高いポリエステル地のスポーツジャージで十分だ。ジーンズなどは濡れると極端に重く歩きづらくなる為、絶対にやめた方がいいが、ジャージが無ければ、チノパンでも初登山であれば、事足りるかもしれない。ベースレイヤー(山シャツ)同様に、登山用トレッキングパンツはその機能に優れ、ストレッチ性や速乾性の高い生地を用い、また体温調節ができる工夫が施されている。特にストレッチ性は重要で、登山では、足を高く上げる岩場や鎖場もある為、ゴワつき膝が曲げづらいパンツは控えた方が無難だ。